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コロナウイルス感染症に関するQ&A

質問1.一般医療機関で対応すべきことは?

回答:疑い症例は基本的には相談センターにつなぎますが、上気道炎等で来院する患者さんも多く、実際は区別がつきにくいと思います。よって常に標準装備(標準予防策)での応対が大切です。基本的には飛沫感染、接触感染が主要な感染経路ですので日常臨床でそれらの感染対策を徹底する事がそのまま新型コロナ感染症対策となります。マスクは通常の診療ではサージカルマスクで良いのですが、咽頭や鼻腔より検体採取を行う時は患者より大量のエアゾルが発生する可能性が高いので医療者はN95マスク装着が望ましいです。N95マスクは、1度使用したら7日間連続して使用可能とのことです。1日終了ごとに袋等に入れて保存しているとのこと。

質問2.院内感染対策のポイントは?

回答:飛沫感染対策のポイント:発熱や咳嗽のある患者さんには全例サージカルマスク着用して頂き、待合室でも他の患者となるべく間をあける。もしくは時間的分離(最後の枠にするなど)を行う。

接触感染のポイント:来院患者すべてに入室時にアルコールによる手指消毒に協力して頂く。ドアや椅子のひじ掛け、受付カンターなど多くの患者が触れる場所は高頻度にアルコールによる清拭を行う。医療者は患者の診察毎にアルコール製剤もしくは流水による手洗いなど十分な手指衛生を行う。

質問3.診察した患者が後に新型コロナウイルス感染症であると判明した場合、医療者は濃厚接触者として診療を休む必要がありますか?

回答:個々のケースは保健所と相談となりますが、通常は上記の飛沫感染対策および接触感染対策を行っていれば濃厚接触者としては取り扱われませんので診療の継続は可能と思われます。但し、接触後は健康観察を十分に行い発熱や咳嗽が出現した場合はいったん休職して保健所と相談の上、PCR検査を含めた検査を受けて下さい。

質問4.地域で患者数が大幅に増えていない現況では、一般医療機関への感染症患者さんの安易な受診が続いている状態だが、どうすればよいか?

回答:予約制や動線区分、診療時間区分、オンライン診療等で今から対応しておくと、新型コロナウイルス感染症の患者数が増えた時にも対応しやすいです。予約なしに来院した感染症患者は、軽症であれば他の患者さんと接触しないように場所を移す。また、当人が触った場所はアルコールでの消毒が必要です。移す場所がない時は、時間をずらして再来院してもらうとよいでしょう。

質問5.新型コロナウイルスに感染した、または感染を疑われる軽症患者さんの家族への注意点は?

回答:アメリカ疾病管理センター(CDC)の推奨事項は以下の通りです。

・できる限り病人とは別の寝室やバスルームを使う。

・同じ部屋にいる時は、病人もそうでない人もマスク着用。

・全員がしっかり手洗いをし、咳等をする時は適切にマナーを守る。

・病人は、ペットとの接触はできるだけ避ける。新型コロナウイルスが動物にも、もしくは動物からも感染するかはまだ不明。(おそらく家庭のペットの場合は問題がないと思われるが)CDCは念のため避けた方がよいと推奨している。

・ドアノブ、キーボード、キッチンカウンター、浴室の備品等、よく触れる場所は常に清潔にする。体液をキレイに掃除するのはもちろん、その際は手袋とマスクを着用すること。衣類もこまめに洗濯すること。

・病人の症状を観察し、医療関係者の指示に従うようにすること。

質問6.母親がPCR陽性であった場合、母乳はやめるべきか?

回答:母親の感染が確定している場合は子供を含む家族への感染の可能性があり、特に直接の授乳は接触や飛沫で感染させるリスクが高いため、避ける方向が望ましいです。ただし、日本産婦人科学会からは「PCR陽性で発熱を認める褥婦においては、母体がウイルス血症となっていることが考えられ、授乳は控えるよう指導する。解熱後3日までは感染力があると判断し、個室での隔離、流水での手洗い、アルコール消毒、および接触したものを次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)で拭き上げることを徹底する。授乳開始は解熱後4日目を目安とする。(ただし今後の解明によって、上記の日にちは変更される)」とされています。

追記:「日本小児科学会」の見解では、母親が感染している場合は、接触や咳を介してお子さんが感染するリスクがありますので、直接の授乳は避ける必要があります。母乳自体の安全性については現時点では明らかではありませんが、中国からの報告では、感染した女性6名の母乳を調べたところウイルスは検出されなかったと報告されています。従って、母親が解熱し状態が安定していれば、手洗い等を行った上で搾乳により母乳を与えることは可能と思われます。

質問7.子どもが新型コロナウイルスに感染すると、どのような症状がでるのか?

回答:現時点では情報が少なく不明な点が多いが、中国からの報告では、2020年1月30日時点で小児(生後1か月~17歳)の確定患者数は28名でしたが、2月11日には965名に増加しています。子どもは家庭内で家族(大人)から感染している例が多く、発熱、乾いた咳、倦怠感を訴える一方で、鼻汁や鼻閉などの上気道症状が比較的少ないようです。一部の患者では、嘔吐、腹痛、下痢等の消化器症状も認められました。血液検査でも明らかな特徴はありません。胸部X-Pや肺のCT検査で肺炎を認める症例もありますが、ほとんどが1、2週間で回復しています。

質問8.子どもの集団検診は安全なのか?

回答:現在、藤沢市で行われている1歳6か月検診、3歳6か月検診等の集団検診は、保護者やスタッフを含めて100名近い人数が狭い空間に集合します。1歳6か月検診は2歳の誕生日前まで、3歳6か月検診も4歳の誕生日前まで受診が可能です。もし集団検診をご心配なさっている患者さんがいらっしゃったら、この旨をお伝えして延期も可能であることをお話しください。

質問9.新型コロナウイルス感染症に対する透析施設での対応は?

回答:日本透析医会の見解は以下の通りです。 ・37.5℃以上の発熱と呼吸器症状のある透析患者さんには、来院前に透析施設に電話連絡の上通院していただく(集団での送迎を避ける)。この場合の施設での対応として、個室隔離あるいは時間的・空間的隔離、ロッカー室の使用禁止または時間をずらして利用、非感染者との院内での動線の分離、血圧計等は個人専用とする、などが挙げられる。 ・来院後に症状が確認された場合は、前述の隔離対策を行うと共に、接触者の経過観察を密にする。 ・新型コロナウイルス感染症の疑いが強い透析患者さんは、直接保健所と相談の上、指定医療機関に紹介する。

質問10.PCR検査が、保険収載後各医療機関で可能となった際の、藤沢市医師会新型コロナウイルス感染症対策本部の見解は?

回答:マスク、消毒液等の医療資源も入手が困難な現状に加え、各医療機関のキャパシティーの問題もあることから、前回新型インフルエンザが流行した際医師会で行った発熱外来に準ずる形で検査をする方が、各医療機関の負担が軽減できると考えています。

質問11.新型コロナウイルス感染症により機能停止等となった医療関係施設等に対する融資について

回答:厚生労働省医政局医療経営支援課より「医療関係施設等は、地域医療を守る観点から欠くことのできないものであり、新型コロナウイルス感染症により、当該施設の責に帰することができない事由で機能停止等になった場合に、長期運転資金について、通常の融資条件から貸付利率の引き下げ等の優遇措置を講じた融資を行っております。つきましては対象となった医療関係施設等が必要に応じて本優遇融資を活用できるよう、管内の市区町村や関係機関、医療関係施設等に対する周知について、ご協力いただけますようお願い申し上げます。」という事務連絡がきております。
【担当連絡先】厚生労働省医政局医療経営支援課経営指導係 代表電話:03-5253-1111(内線2671) 直通電話:03-3595-2261

質問12.インフルエンザとどこが違うのか?

回答:インフルエンザにおいては、急激な高熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・体のだるさ等の全身症状が早期に現れるのが特徴です。一方、新型コロナウイルス感染症では、急激というよりは発熱や咳などの風邪症状がなだらかに続き、少し間をおいて(4、5日)急激に悪化し強い倦怠感を訴える症例が多くみられる。症状だけで判別するのは困難だが、インフルエンザを否定して肺炎を疑う場合は、相談センターへの相談が望ましいです。

質問13.以下の情報は正しい情報でしょうか?

回答
①コロナウイルスは、熱に弱く26~27度のお湯を飲むと殺菌効果がある →川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長によれば「ウイルスは一般に熱に弱いので、煮沸等で十分ウイルスを不活化できることはあるが、26~27度では活性は低下しますが失活はしません。」   ②エアロゾル感染、つまり空気感染である →神戸大学岩田健太郎教授によれば「咳やくしゃみ等によって感染が広がる飛沫感染よりは感染の範囲が広がるとはいえ、恒常的に感染の広がりが認められるものではなく、空気感染とは別物である。」

質問14.定期受診患者が電話での処方箋発行を希望された場合の対応は?

複数回受診している(すなわち初診で無い)慢性疾患を有する患者については、かかりつけ医が外来受診による感染リスクなどを考慮して必要性を認める時は電話等で診療を行い、処方箋を発行する事が可能です。

処方箋については、患者が希望する場合は、患者の希望する調剤薬局にFAXで処方箋情報を送信して調剤を依頼する事が可能となりました。処方箋原本は後に薬局に送付する必要があります。

なお、診療報酬上の取扱いについては、原則として電話等再診料、処方箋料の2つの項目については算定可能であると関東信越厚生局神奈川事務所に確認済みです。それ以外の加算等については、個別に関東信越厚生局にお問い合わせください。(電話:045-270-2053)

質問15.アルコール消毒液が手に入らない時はどうしたらいいですか?

次亜塩素酸ナトリウムが使えます。あくまでアルコール消毒液がない場合です。  「次亜塩素酸ナトリウム」   (製品名ではハイター、キッチン ハイター、ブリーチ等)を水道水で 50倍~100倍に薄めて使う。     ・クリニックのドアノブ 手すり 物の表面机  ・手指消毒は不可    *これなら品切れになっていないかもしれません。各家庭にもあると思います。

質問16.鼻腔スワブの採取に飛沫感染を防ぐコツを教えてください

・患者さんには、「口鼻マスク」を「口だけマスク」にしてもらう

・医師は、患者さんと対面ではなく、患者さんの横できれば背後に立って手技をおこなう。

 上記で患者の鼻腔スワブ採取時に咳、くしゃみによる飛沫から完璧とはいいませんが逃れることができます。

 *基本ですが、スワブは垂直にゆっくり挿入すること 上向きは不可

質問17.「発熱外来」開設施設にPCR依頼が出来ますか?

湘南藤沢徳洲会病院(3月藤沢市医師会入会)からも発熱外来の開設案内が来ましたが、院内感染防止の視点で発熱、呼吸器症状等の患者さんを分けて診察する施設設置であり、PCR検査外来ではありません。

質問18.現時点(3/6)でクリニックでできることは?

新型コロナウイルス感染症は特効薬、ワクチンがありません。またPCR検査も、クリニックで施行するのは、例外はあるとしても困難でしょう。したがって、感染拡大を防ぐためには、一般市民の皆様が感染予防を実行していただくことが最も重要です。感染拡大し、国難とも言われる状況のなかでの提案です。

公衆衛生担当:吉村理事からの提案

「来院した患者様ひとりひとりに対して、感染予防の啓発活動を行う」

*基礎疾患は問いません。

*医師が直接話すことが大事です。本来の診察があるので短時間となります。1-2分/患者でしょうか?

*厚労省のリーフレット(新型コロナウイルスQ&A)を配布する。

*草の根運動です。たとえばクリニック受診者数500人/月その患者から家族 知人などに4人に情報伝達藤沢市の300医療機関が啓発活動。単純計算で 5000x4x300=6万人に啓発活動ができる。 

質問19.マスク、アルコール等の在庫不足が心配、医師会で何とかならないか?

多くの医療機関でマスクやアルコール等の備品不足が問題となっていますが、藤沢市、神奈川県、県医師会へ感染拡大当初から備品の補充、医療機関への優先配布を強力に要請して参りました。藤沢市では、備蓄がないとの回答です。医師会の備蓄も南北休日夜間診療所の救急外来を回す為に使用している現状です。国がマスクを優先的に医療機関へ回すという情報は、先ず病院への配布が先に行われているようです。

質問20.患者対応の基準について指針を示して貰いたい。

既にHPに対応マニュアルをアップしてます。ご参照ください。

質問21.新型コロナの診察が可能な医療機関を知りたい。

現状では未公表です。現場の混乱と風評被害を考慮しての措置との事です。

質問22.日本医師会からインフルエンザ検査を止める様に通達があったが、軽症例は検査しなければわからない。又証明書の発行を希望されても出せない。

日本医師会はゴーグル、マスク、手袋を着用せず十分な予防策が取れない医療機関はインフルエンザ検査を行わず、臨床症状等から診断を下し治療薬を処方する様に通達しました。よって予防策が可能な医療機関は十分な注意のうえインフルエンザ検査を行う事が出来ます。日本プライマリ・ケア連合学会の手引きでは、「抗インフルエンザ薬の投与にインフルエンザ迅速検査は必須ではありません、流行状況、接触歴、身体所見等を総合的に判断して、臨床的にインフルエンザと診断し投薬する事が出来ます」「仕事や学校を病欠するための診断書も、医師の臨床診断に基づいて記載及び発行する事が出来ます」とあります。その際も「患者に対して医療従事者の感染リスク、迅速検査の限界及び臨床診断に基づくインフルエンザ診療の適切さについて十分に説明をする事が大切」とあります。

質問23.コロナ感染者が出た場合、クリニックは休診になるのか?

医療従事者の暴露のリスクと対比の表参照。濃厚接触者の追跡調査として保健所が入っても14日の就業制限対象にならない為に参考として下さい。※医療従事者の暴露のリスクと対比表(参照用)

質問24.軽症の発熱や咳の患者が来院し、症状を伝えずに待合室で待っていて困る。

各医療機関で時間的、空間的動線区分を工夫なさっていると思いますが、感冒症状を有する患者さんがマスクを装着している場合はその後に大きなトラブルにはなりにくいので、待合室でのマスク装着(なければハンカチ、ペーパータオル等で鼻、口を覆う)を徹底して下さい。

質問25.相談センターに電話がつながらない。又、相談センターがその後の対応の相談にのってくれない。

時間的に相談が重なる事はありますが、最近では比較的お待たせせずに電話を受ける事が出来ているとの保健所の回答です。相談センターではマニュアルに沿って絞り込みをする為、インフルエンザや溶連菌が否定されていないケースは受診に繋がり難くなっています。臨床症状から強く肺炎を疑う、全身状態が悪く搬送が必要なケースに対して相談センターがつながらない場合は、保健予防課に連絡して下さい。0466(50)3593直通です。

質問26.医師会として発熱外来、ドライブスルー外来を検討しては?

今後フェーズが変わり一般医療機関に検査体制が降りてきた際は、市からの要請に応じて医師会による集約的医療体制を検討します。